九州医用画像コミュティ 代表世話人 村上 誠一(産業医科大学病院)
この度、公益社団法人 日本放射線技術学会九州支部の主催で九州医用画像コミュニティを開催する運びとなりました。
近年、ディジタル画像診断装置の普及は、検査ワークフローの効率化や患者スループットの向上に大きく寄与し、X線検出器の改良と新しい画像解析・処理技術の開発による医用画像の画質向上をもたらしています。その一方、臨床現場では
- 画像解析・処理技術の原理を十分に理解しないままに臨床利用している状況。
- ディジタルでも求められる線量コントロール技術や画像形成に関する理論と知識が次の世代にうまく継承できていない状況。
等の問題が生じています。また、現在の私たちが、メーカ推奨の技術や設定に依存し、デジタルシステムだからこそ利用すべきアナログ時代の技術を作業効率に重点を置くあまり活用できていないなど、新しい技術を工夫し、臨床応用することができていないことが懸念されます。
本来、私たち診療放射線技師は、装置の性能を十分に理解し、習得した知識に基づき臨床目的に最適な撮影(線量コントロール、ポジショニング)、画像処理、解析などの技術を発展させ、結果として、国民の医療に貢献する責務があります。
その遂行には、私たちが「医用画像に対して高い関心を持つこと」、「基本的な知識や技術を臨床応用へ繋げること」、「新しい技術を創造・発展させる努力を行うこと」が重要と考えます。これらの課題を解決するために、モダリティーを特定せず、医用画像の撮影、画像処理、解析に関する知識・技術の共有や発展のために、世代、職種や施設間の壁を越えた人的ネットワークの構築を図る目的で『九州医用画像コミュニティ(KMIC:Kyushu Medical Image Community)』を創設し、臨床の検査にフィードバックできる知識と検査技術の普及活動をゴールとしています。
最後に、本会は学会のような堅ぐるしい雰囲気をなくし、誰でもが質問しやすい環境を整え、個々の臨床現場での問題解決の糸口になるように本音で討論できる会を目指していますので、一人でも多くの方が興味を持ち、会に参加していただけることを望んでいます。